会社メールでGoogle ドライブやGoogle 広告へログインしている場合は、Google Workspaceのユーザーを作る前に、そのGoogleアカウントを確認します。同じメールアドレスで管理対象のユーザーを作ると、既存アカウントと名前が競合するためです。

確認するのは、アカウントがあるかどうかだけではありません。誰が使い、どのサービスとデータを管理しているかを整理します。その結果を見て、組織の管理下へ移すか、名前を変更して別のGoogleアカウントとして残すかを判断します。

本記事は、独自ドメインの会社メールでGoogleサービスを利用している事業者が対象です。過去メールの取り込みやGoogle ドライブのデータ移行手順は扱いません。

最初に三つの状態を切り分ける

会社メールが存在するだけでは、Googleアカウントがあるとは限りません。Google Workspaceを開設する前に、次の三つを分けて確認します。

現在の状態見分ける手がかり次に確認すること
既存のGoogle Workspace契約管理コンソールへ入れる管理者がいる契約者、特権管理者、利用中のドメイン
管理対象外のGoogleアカウント会社メールでDriveなどへログインしている利用者、サービス、データ、権限
メールだけを利用会社メールではGoogleへログインしていないWorkspaceで作成するユーザー

既存のGoogle Workspace契約がある場合は、新規契約を重ねません。社内や以前の委託先に管理者がいないかを確認します。契約の状態が分からない場合は、管理者の確認や復旧を新規開設とは分けて進めます。

管理対象外のGoogleアカウントは、会社のドメインを使って個人が作成したGoogleアカウントです。メールはレンタルサーバーで受信しながら、同じアドレスをGoogleへのログイン名として使っていることがあります。

メールだけを利用しており、Googleへログインしていなければ、アカウント名の競合はありません。ただし、利用者本人の記憶だけで判断せず、業務で使うGoogleサービスも確認してください。

利用者ではなく、サービスと権限まで確認する

会社メールでログインできる人が分かったら、そのアカウントをどこで使っているかを確認します。Google ドライブだけを見て終わらせると、Google 広告やGoogle Analyticsの管理権限を見落とす場合があります。

一つの表へ、次の内容をまとめます。

確認項目記入する内容
メールアドレスGoogleへのログインに使っている会社メール
利用者現在ログインできる人と業務上の担当者
GoogleサービスDrive、広告、Analyticsなど実際に使うもの
重要なデータ継続利用するファイルや設定
管理権限所有者、管理者、請求に関わる権限
復旧方法利用者本人が確認できる復旧先

ここで必要なのは、Googleサービスを漏れなく列挙することではありません。業務を継続するために残すデータと権限を特定することです。

複数人が同じアカウントを共有している場合は、その状態も記録します。整理後のGoogle Workspaceでは利用者ごとのアカウントを作り、共有が必要なデータや窓口を別の方法で管理します。

管理対象外アカウントは二つの方向から選ぶ

Google公式の案内では、管理対象外アカウントへの対応は大きく二つあります。組織の管理対象アカウントへ移す方法と、既存アカウントの名前を変更して別に残す方法です。

組織の管理下へ移す場合は、管理者が移行リクエストを送り、現在の利用者が承諾します。移行後は組織のポリシーが適用され、管理者がアカウントとデータを管理できるようになります。

別のアカウントとして残す場合は、既存の個人用Googleアカウントの名前を変更します。データはそのアカウントに残り、新しく作るGoogle Workspaceユーザーとは別に管理されます。

どちらを選ぶかは、サービスとデータの棚卸し後に決めます。「会社のメールアドレスだから組織へ移す」と先に決めると、移行後に利用できないデータや機能が見つかる可能性があります。

組織へ移す前に影響を確認する

管理対象外アカウントを組織へ移すと、Google Workspaceの管理ポリシーが適用されます。管理者はサービスへのアクセスを制限でき、アカウント内のデータを管理できるようになります。

Google公式情報では、移行前に作成したGoogleサイトや予備カレンダーなど、移行後のアカウントで管理できないものがあると案内されています。ライセンスや保持ルールによって、データへ影響する可能性もあります。

そのため、移行リクエストを送る前に、利用中のサービスを一つずつ確認します。Google 広告やGoogle Analyticsのように、別の管理者を追加できるサービスでは、必要な権限を複数の担当者で確認できる状態にしてから進めた方が安全です。

家族グループへ参加している個人用Googleアカウントなど、移行ツールを利用できない条件もあります。一律に移せる前提を置かず、対象アカウントごとにGoogle公式の現行条件を確認してください。

ユーザー作成とメール移行を混同しない

会社メールで作ったGoogleアカウントを整理する作業と、レンタルサーバー上の過去メールを取り込む作業は別です。

管理対象外アカウントがあっても、そのアカウントのGmailに過去メールが保存されているとは限りません。会社メールをレンタルサーバーで受信している場合、メールデータはそのサーバーや端末に残っています。

反対に、過去メールをGoogle Workspaceへ取り込める状態でも、管理対象外アカウントのDriveや広告権限は自動的に整理されません。アカウント、メール、サービス権限を分けて計画します。

Workspace開設前に担当を決める

棚卸しが終わったら、誰が判断するかを決めます。現在のアカウント利用者だけでなく、Google Workspaceの管理者と、業務データの責任者が確認します。

進める順番は次のとおりです。

  1. 同じ独自ドメインで作られたGoogleアカウントを探す
  2. 利用者、サービス、データ、管理権限を記録する
  3. 既存のGoogle Workspace契約がないかを確認する
  4. 組織へ移すか、名前を変更して別に残すかを決める
  5. 必要な保全と権限確認を終えてからWorkspaceユーザーを作る

管理対象外ユーザーを管理コンソールから確認するには、ドメイン所有権の確認と特権管理者の権限が必要です。申込み前の聞き取りだけで完結しない場合は、Workspace開設後、ユーザーを作る前の工程として組み込みます。

誰も会社メールでGoogleへログインしていなければ、通常のユーザー作成へ進めます。既存アカウントが見つかった場合は、利用サービスとデータを確認するまで削除や名前変更を行わないでください。判断が難しい場合は、Google Workspaceの開設とアカウント整理を一緒にご相談いただけます。