--- title: "レンタルサーバーのメールを移行する前に確認すること" description: "レンタルサーバーの会社メールをGoogle Workspaceへ移行する前に、サーバー上のメール、IMAP接続、移行先ユーザー、DNS管理先を確認します。見積り前に移行できる状態か判断するための記事です。" date: 2026-07-31 updated: 2026-07-31 category: メールとドメイン tags: [メール移行, レンタルサーバー] official_sources: [data-import-overview, data-import-imap, data-import-imap-guide, data-import-troubleshooting, data-import-reports, admin-mx] related_articles: [company-email-google-account, business-email-preparation] related_links: [migration] draft: false --- レンタルサーバーの会社メールを取り込むには、IMAPで外部から接続できることが条件です。移したいメールもサーバー上に残っている必要があります。あわせて、移行先のユーザーとDNSの管理先を確認します。 ここで分けて考えたいのは、過去メールの取り込みと、これから届くメールの受信先変更です。過去メールはIMAP経由でコピーします。新着メールはMXレコードをGoogle Workspace向けに変更して受信先を切り替えます。 本記事は、独自ドメインのメールをレンタルサーバーで運用している事業者が対象です。Microsoft 365・他のグループウェア・個人用Gmail・別のGoogle Workspaceからの移行は扱いません。 ## 移行元と移行先を一対ずつ整理する 最初に、現在のメールアドレスとGoogle Workspaceで作るユーザーを対応させます。移行元のアドレスだけを一覧にしても、誰のGmailへ取り込むかが決まっていなければ作業を始められません。 | 確認項目 | 記入する内容 | 確認する理由 | |---|---|---| | 移行元アドレス | 現在使っている会社メール | 対象を漏らさないため | | 利用者 | 実際にメールを使う人 | 共有アカウントを見つけるため | | 移行先ユーザー | Workspaceで作るアドレス | 取り込み先を決めるため | | サーバー上の容量 | 現在残っているメール量 | 対象量と保存容量を確認するため | | 対象期間 | いつからのメールを移すか | 不要なデータを含めないため | | 旧環境の終了時期 | いつまで確認できるか | 切替中の確認先を残すため | 一つのメールアドレスを複数人で共有している場合は、その状態も記録します。Google Workspaceでは利用者ごとのアカウントを作り、共有窓口はGoogleグループや委任など別の方法を検討します。 退職者のアドレスや、すでに使っていない窓口をそのまま移す必要はありません。業務上残すメールと、今後受け取る宛先を分けて決めます。 ## サーバー上にメールが残っているか確認する IMAPのインポートで対象になるのは、移行元サーバーから取得できるメールです。パソコンのメールソフトにしか残っていないメールは、同じ方法では取り込めません。 Webメールで過去のメッセージを確認できる場合は、サーバー上に残っているかを判断する手がかりになります。ただし、メールソフトの設定や保存期間によって状態が異なります。レンタルサーバーの管理画面にあるメールボックス使用量も確認してください。 「受信したことがある」ことと「サーバーに残っている」ことは別です。メールソフトが受信後にサーバーから削除する設定だった場合、古いメールが端末だけに残っている可能性があります。 移したい期間のメールが見つからない場合は、その端末内データを別の方法で扱えるかを先に検討します。標準のIMAP移行へ含める前提では進めません。 ## IMAP接続の条件を確認する Googleのデータ インポート ツールから取り込むには、移行元のIMAPサーバーへGoogleから接続できる必要があります。公式の移行ガイドでは、信頼できるTLS証明書を使い、GoogleサービスからアクセスできるIMAPサーバーが対象として案内されています。 Google公式のトラブル対応では、IMAPSのポート993が確認項目に挙げられています。接続元となるGoogleのIPアドレス範囲と、利用者ごとの認証情報も確認します。レンタルサーバー会社の仕様書だけで判断できない場合は、サポートへ外部からのIMAP接続条件を確認します。 確認する内容は、サーバー名・ポート・暗号化方式・ログイン名です。二段階認証などを利用している環境では、アプリパスワードが必要になる場合があります。 認証情報を確認できても、AdRegionへメールやフォームで送る必要はありません。実際のインポート設定では、操作する人と入力方法を作業前に決めます。 ## メール以外は同じ方法で移らない IMAPからGoogle Workspaceへ取り込む標準対象はメールです。Google公式の移行案内では、メールとラベルが対象です。カレンダー・連絡先・Google ドライブなどのデータは含まれません。 レンタルサーバーのWebメールで使っているアドレス帳や予定表があれば、メールとは別に扱います。メールソフトの振り分けルールや署名も、自動的にGoogle Workspaceへ再現されるとは限りません。 移行前に「メール環境」とひとまとめにせず、メール本文・フォルダ・連絡先・署名・ルールへ分けてください。今回移すものと、利用者が再設定するものを決めると見積り範囲が明確になります。 ## DNSの管理先をメール取り込み前に確認する 過去メールを取り込んでも、MXレコードを変更するまでは新着メールの受信先はレンタルサーバーのままです。切替日までに、DNSを変更できる人と管理画面を確認します。 ドメインの購入先とDNSの管理先は同じとは限りません。Webサイトの制作会社が管理している場合は、現在のMX・SPF・DKIM・DMARCを控えてもらいます。Webフォームや予約システムなど、会社ドメインからメールを送るサービスも確認します。 MX変更がインターネット全体で認識されるまで時間がかかる場合があります。Google公式では最大72時間かかる可能性が案内されています。切替操作をした時刻と、すべての送信元からGoogleへ届く時刻を同じものとして扱わない方が安全です。 変更前のDNS値は記録します。切替後に重大な問題が起きた場合の判断者と、以前の受信先へ戻す条件も決めます。 ## 旧メール環境は確認が終わるまで残す メールのインポートが完了しても、すべてのメッセージが同じ状態で取り込まれるとは限りません。Googleのレポートでは、利用者ごとの成功・失敗件数や、取り込めなかった項目を確認できます。 インポート後は、必要な期間のメールをGmailで確認します。フォルダやラベルの状態も利用者が確認してください。新着メールについては、社外アドレスから受信し、会社メールから返信できることを試します。 この確認が終わる前にレンタルサーバーを解約すると、旧環境にしか残っていないメールを確認できなくなる可能性があります。切替中は新旧の受信箱を確認できる状態にしておきます。 ## 見積り前の六項目をそろえる 移行支援を相談する前に、次の六項目を確認します。 1. 利用中のレンタルサーバーと契約プラン 2. 移行するメールアドレスと利用者 3. サーバー上に残るメールの対象期間 4. 外部からのIMAP接続条件 5. Google Workspaceで作る移行先ユーザー 6. DNSの管理先と変更できる人 サーバー上のメール・IMAP接続・DNS管理先のいずれかが分からなければ、先に現在の管理会社へ確認します。サーバー上にメールが残っていない場合は、標準の移行対象にできません。 六項目が分かれば、アカウント数と作業内容を確認して見積りへ進めます。会社メールで作成済みのGoogleアカウントがある場合は、[Googleアカウントの事前確認](/knowledge/company-email-google-account)も先に行ってください。